「次の監査に必要な書類、どこにありますか?」
そう聞かれた時、すぐに答えられるでしょうか。
監査が近づいてから、
・必要な書類が見つからない
・前回何を提出したか分からない
・似た名前のファイルがいくつもある
・紙とデータの保存場所が違う
・担当者しか保管場所を知らない
という状態になると、事務担当者は一気に忙しくなります。
私が現在の会社で監査関係の仕事を引き継いだ時も、必要な書類がさまざまな場所に保管されていました。
正直に言うと、
「今まで、どうやって監査を終えていたのだろう」
と驚いたほどです。
ただ、これは前任者だけの問題ではありません。
担当者本人には分かる整理方法でも、引き継いだ人には分からない。
長く同じ人が担当している会社では、よく起こることだと思います。
そこで私は、次の監査で慌てないように、書類の整理方法を一から見直すことにしました。
今回は、監査資料をどのように整理したのかをご紹介します。
最初にしたのは「全部並べること」
監査書類を整理する時、いきなりきれいなファイルを作ろうとすると、途中で分からなくなります。
まず行ったのは、現在ある書類を全部確認することでした。
紙のファイル。
パソコンのフォルダ。
過去に提出した資料。
メールで受け取ったデータ。
担当者が個別に保管していた書類。
それぞれを確認し、
・何の書類なのか
・どの年度の書類なのか
・原本かコピーか
・現在も必要か
・どの監査で使ったのか
を整理しました。
最初は時間がかかります。
しかし、ここを飛ばして新しいファイルだけを作ると、古い書類と新しい書類が混在し、さらに分かりにくくなってしまいます。
監査に必要な書類を一覧にする
次に、監査で確認される書類を一覧にしました。
例えば、建設業や外国人技能実習生に関係する監査では、会社によって次のような資料を確認することがあります。
・会社情報
・雇用契約関係
・勤怠記録
・給与関係書類
・資格証明書
・健康診断関係
・安全関係書類
・指導記録
・請求書や支払関係書類
・過去の是正内容
監査の種類によって必要書類は異なるため、実際の案内文やチェックリストを確認しながら作成します。
ポイントは、頭の中で覚えないことです。
「毎回分かっているから大丈夫」
と思っていても、監査が数か月後や1年後になると、細かい内容を忘れてしまいます。
必要書類を一覧にしておけば、監査前に上から順番に確認できます。
監査用チェックリストに入れた項目
私は、Excelで監査用のチェックリストを作りました。
主な項目は次のとおりです。
・番号
・書類名
・対象年度
・対象期間
・紙の保管場所
・データの保存場所
・原本またはコピー
・準備状況
・不足しているもの
・確認した日
・備考
準備状況は、
・未確認
・準備中
・確認済み
・不足あり
などから選べるようにすると分かりやすくなります。
色分けも便利ですが、色だけで判断するのではなく、文字でも状態を表示するのがおすすめです。
印刷した時や白黒で見た時にも、状況が分かるからです。
フォルダは監査項目の順番にそろえる
データの保存フォルダは、監査で確認される項目の順番に合わせました。
例えば、次のような形です。
00_監査チェックリスト
01_会社基本情報
02_雇用契約関係
03_勤怠関係
04_給与関係
05_資格・免許関係
06_健康・安全関係
07_指導・面談記録
08_請求・支払関係
09_過去の指摘・是正内容
99_その他資料
フォルダ名の最初に番号を付けると、毎回同じ順番で表示されます。
「あの書類はどこだったかな」
と、複数のフォルダを開いて探す時間を減らせます。
紙のファイルも、できるだけ同じ番号と項目名にしました。
データは「04_給与関係」なのに、紙のファイルは「実習生資料」という名前では、次の担当者が迷います。
紙とデータの名称をそろえるだけでも、かなり分かりやすくなります。
ファイル名の付け方を統一する
同じ書類でも、ファイル名の付け方がバラバラだと検索しにくくなります。
例えば、
・給与
・給与計算
・6月給与
・給与新しい
・給与最新版
・実習生給与修正
といった名前が混在していると、どれが正式なデータなのか分かりません。
そこで、ファイル名のルールを決めました。
基本形は、
「年度・年月_書類名_対象者」
です。
例えば、
・2026年06月_賃金台帳_Aさん
・2026年度_雇用契約書_Bさん
・2026年07月_勤怠記録_Cさん
という形です。
日付を最初に入れておくと、ファイルを並べた時に時系列で表示されます。
「最新版」「新しい」「修正版2」といった、後から意味が分からなくなる名前はできるだけ使わないようにしました。
修正した場合は、
・20260710修正
・確定版
・提出版
など、内容が分かる名前を付けます。
前回の監査で聞かれたことも残す
書類だけでなく、前回の監査で確認された内容も残すようにしました。
例えば、
・どの書類を追加で求められたか
・どの部分について説明を求められたか
・回答に時間がかかった質問
・不足していた資料
・次回までに改善する内容
・提出後に修正した内容
などです。
監査が終わると安心して、記録を残すのを忘れてしまいがちです。
しかし、監査直後が一番内容を覚えています。
簡単なメモでも残しておけば、次回の準備が格段にラクになります。
「ない書類」はそのままにしない
監査資料を確認していると、
「この期間だけ書類がない」
「署名が入っていない」
「データはあるけれど原本がない」
ということがあります。
その時に、見なかったことにして次へ進むと、監査直前に慌てます。
不足している書類があった場合は、
・誰に確認するのか
・いつまでに準備するのか
・再発行できるのか
・代わりになる書類があるのか
・今後どのタイミングで保存するのか
をチェックリストへ記録します。
「不足している」と分かった時点で管理できれば、早めに対応できます。
監査直前だけ整理しても続かない
監査資料は、監査前にまとめて準備しようとすると大変です。
給与関係は毎月。
健康診断は実施時。
資格証は取得や更新時。
契約書は入社や更新時。
それぞれの書類が発生したタイミングで、決めた場所へ保存する必要があります。
私は、
・給与計算が終わったら給与関係フォルダへ保存
・新しい契約書を作成したら契約関係へ保存
・資格証を受け取ったら資格関係へ保存
・監査に関係する連絡を受けたら記録へ追加
というように、普段の仕事の流れへ組み込みました。
月に一度、10分だけでも不足書類を確認する時間を作ると、監査前の負担を減らせます。
書類整理は「自分が分かる」だけでは不十分
以前の私は、書類整理というと、
「自分が見つけられれば問題ない」
と思っていました。
しかし、1人事務だからこそ、自分以外の人でも分かる状態にしておく必要があります。
急に休むことになった時。
担当者が変わった時。
監査中に別の人が書類を探す時。
自分しか場所を知らなければ、業務が止まってしまいます。
整理された書類とは、見た目がきれいな書類ではありません。
「必要な人が、必要な時に、迷わず見つけられる書類」
だと感じています。
監査書類を整理して変わったこと
書類を一から整理したことで、次のような変化がありました。
・必要書類を探す時間が減った
・不足書類を早めに把握できるようになった
・前回の監査内容を確認できるようになった
・紙とデータの場所が分かりやすくなった
・次の担当者へ説明しやすくなった
・監査前の不安が減った
一度整理するまでは大変でした。
それでも、毎回バラバラの状態から探し直すより、一度仕組みを作った方が、その後の負担はずっと少なくなります。
まとめ|監査対策は書類を探さなくていい仕組み作りから
監査前に慌てる原因は、書類がないことだけではありません。
「どこにあるか分からない」
「何が必要か分からない」
「前回どう対応したか分からない」
という状態も、大きな負担になります。
私が監査書類を整理する時に行ったのは、次の方法です。
・現在ある書類を全部確認する
・必要書類を一覧にする
・Excelでチェックリストを作る
・紙とデータの項目名をそろえる
・ファイル名のルールを決める
・過去の質問や指摘内容を残す
・書類が発生した時点で保存する
完璧な整理方法を最初から作る必要はありません。
まずは、
「次回の監査で、同じ書類を一から探さなくて済む状態」
を目指すだけでも十分です。
1人事務は、目の前の仕事を終わらせるだけで精いっぱいになりがちです。
それでも、一度仕組みを作っておくと、未来の自分を助けてくれます。
監査のたびに書類探しで苦労している方は、まず必要書類の一覧作りから始めてみてください。
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